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第3回のテーマは
 
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 曽祖母への愛

千葉 早智子さん(神奈川県)

80過ぎの曽祖母が、肺炎のため入院した。大学が冬休みの時期だったので、私が付添役をかってでた。

入院前からの高熱が曽祖母の体力を奪っており、自力で立ち上がることもできなくなっていた。ポータブルトイレをベッドの脇に据え、「おしっこ」の一声があればすぐ肩を貸す。「水」「かゆい」など単語での要求が続いたが私は機敏に反応し、この入院生活で不便な思いはさせまいと必死だった。

そんなある日、病院専属の介添えさんの存在を知った。この人は曽祖母と同室の2人を担当していたが、患者さんに暴言は吐いたり、仕事も乱暴そのものだった。介添えさんは私の介助を横目に「そこまでしなくていいの」と、いつもせせら笑っていた。

2週間が経過した頃、曽祖母の体力も回復し自ら立ち上がれるようになった。少しずつ歩行の練習も始めた。母が、夜は病院にまかせて付添は日中だけにするよう提案してきた。疲れもたまっていたので、1日だけ家の布団で眠ることにした。

「明日の朝また来るから」と告げると、曽祖母は「またね」と返事をした。寂しげな表情が、はっきり読み取れた。

家で風呂につかり、夕食も十分食べた。畳の上にゴロンと横になり目をつぶった。今頃病院は暖房が切れて寒いはずだ。夕飯残さず食べたかな。介添えさんに意地悪されていないかな。もう心配で、いてもたってもいられない。

私はすぐさま病院行きのバスに乗り、曽祖母のもとへ戻った。「もう来たのですか?」曽祖母は笑って言った。

じきに曽祖母は退院した。着物の帯を自らの手で締めた凛々しい姿に、他の患者さんはおろか介添えさんまでも驚いていた。

曽祖母の入院を通して、私は自分の中に曽祖母に対する熱い感情があることを知った。自分はさておき、とにかく曽祖母を救いたかったのである。

「これが愛ってものなのかな…」

おぼろげな考えが頭に浮かび、今でも消えない。


(2008/04/03)

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