私が母の料理のありがたみを知ったのは、高校2年のときでした。からだを悪くした母が、1カ月入院することになったのです。母子家庭の我が家では、母は大黒柱。このまま母がいなくなるのではないかと、とても心細かったのを覚えています。
それまで、きちんと料理の手伝いをしていなかった私は、母の見舞いに行っては米の炊き方から聞くような毎日でした。最初は母の見よう見まねで、朝食の用意、お弁当作り、夕飯の用意とやっていました。しかし、授業を終えバイトから帰るとへとへとで、自炊などとてもできる状態ではなく1週間と続きませんでした。
それまでの食事は、母が私の健康を気づかい、魚料理などの和食が中心でした。煮物、ひじき煮、おひたし、切干大根などどれも栄養豊富な料理でしたが、高校生の私はちょっと物足りなさも感じてもいました。
“だから”というか、この時とばかりに自分の好きなものばかりを食べようと決めた私は、朝食をご飯から菓子パンに変え、お弁当はできあいのものを買い、夜はインスタント食品やジャンクフードなどにし、栄養など考えず食べたいものを好きなだけ食べていました。
当然の結果というべきか、私のからだはそのつけを払うことになりました。体重は3kg増え、肌にはニキビができ、髪もパサついた状態になりました。しかも、たった1カ月の間に2回も風邪をひいてしまい、入院中の母を不安にさせる程でした。
術後の経過が良かった母は、退院後家に帰るなり散らかった部屋を片付け、栄養たっぷり愛情たっぷりの料理を作ってくれました。母に食べたいものを聞かれ、和食好きでもなかった私が真っ先に答えたのは、“おから”でした。「カレーとかハンバーグじゃなくていいの?」と聞かれましたが、母の作る“浅利入り特製おから”をたっぷり食べたいと心から思いました。
母の手料理をいつも通り食べるようになり、増えた体重はすぐに戻り、肌荒れも髪のパサつきもあっという間に無くなりました。
あれから15年たち、洋食も食べますが、食事の参考にするのは母が作ってくれた毎日の和食です。現代人は、手軽さから簡単な食事に走りがちだと思いますが、手間をかけ愛情を込めた料理を作り、それを食べることこそスローフードだと私は思います。日本人が昔から食べている何気ない食事に、長寿大国、日本の秘訣があるのだと思います。






何気ない料理への、ありがたみ

都道府県別の健康リスク更新(5/ 18)







