胃潰瘍

どんな病気?

胃に「潰瘍」ができる病気が胃潰瘍です。潰瘍とは、皮膚や粘膜のただれのことです。ただれの深さが浅い場合は「びらん」といい、より深くまでおかされている状態が潰瘍です。びらんや潰瘍の原因はいろいろありますが、胃潰瘍の場合は、胃そのものが分泌する「胃酸」が原因です。

胃は、食べたものを一時的に溜め、強い酸性の分泌液「胃酸」によって、消化や殺菌を行います。胃の粘膜は、強い酸性の胃酸に耐えるために、いつも粘液で覆われていて、また、粘膜の細胞は皮膚の細胞の10倍以上のスピードで生まれ変わっています。このような胃の粘膜を守る作用が低下し、胃酸による刺激に耐えられなくなったときに胃潰瘍が発生し、胃の痛み・もたれが現れます。ひどい場合には、胃に穴があくこともあります。

それでは、どのようなときに胃の粘膜を守る働きが低下するのでしょうか。長い間、その原因は食生活や精神的ストレスにあると考えられていました。もちろんそれらも確かに関係あります。しかし20世紀後半、胃潰瘍を起こしやすくする最大の原因が明らかになりました。みなさんご存じのヘリコバクターピロリ、「ピロリ菌」です。ピロリ菌は胃の粘膜のひだの間に生息し、胃の粘膜修復を妨げて、胃潰瘍を起こしやすくするのです。

ピロリ菌のほかに、痛み止めや心筋梗塞・脳梗塞の予防に処方される薬(NSAID)の副作用も、胃潰瘍の主要原因に挙げられます。

数字で見る胃潰瘍

胃潰瘍の予防と治療

胃潰瘍に対して今では、胃酸分泌を抑えるH2 ブロッカーなどの非常に良く効き副作用の少ない薬があります。胃に穴があいてしまったような重症の場合には緊急手術が必要ですが、それほどまで悪化することは少なく、ほとんどが薬で治ります。しかしそれらの薬による治療にも問題があります。それは、いったん治っても非常に高い頻度で再発するということです。なぜなら、胃潰瘍の基盤にあることの多いピロリ菌感染やNSAIDの副作用が、解決されていないからです。

ピロリ菌感染は、近年では胃潰瘍だけでなく、胃がんの発生率も高めることもわかってきました。そこで現在では胃潰瘍の患者さんに対してピロリ菌の感染の有無を検査し、感染しているとわかった場合は積極的に除菌治療を行うようになっています。通常よりも多い量の抗生物質を1週間服用し、ピロリ菌を退治するのです。この治療で8割ぐらいの人が除菌に成功し、以降、胃潰瘍に悩まされる可能性は激減します。ただ、高齢で相対的に除菌治療のメリットが少ない方や副作用が出やすい方には、この治療はあまり適さず、胃酸分泌を抑える薬の服用を続けたほうが良いと判断されることもあります。

NSAIDの副作用が原因と考えられるときには、その服用を中止することです。しかし、慢性の痛みや心筋梗塞・脳梗塞の予防のめにNSAIDが処方されている方など、中止できないことも少なくありません。そのような場合は、胃酸分泌を抑える薬や胃の粘膜を保護する薬の服用を続けます。

生活面においては、暴飲暴食を控えたほうが良いことは言うまでもありません。

さらに詳しく知りたい方は
病気別BEST100サイト【胃・十二指腸潰瘍・ピロリ菌感染】

(2008/02/25)
(ku)